ころころ〜。ころころ〜。
ベッドの上で僕の身体を通過したと思えばまた帰ってくる温もり。
「ころころ〜。理姫ろ〜ら〜♪」
妹は自分がローラー車にでもなったんだと勘違いしているようです。痛い子です。ぶっちゃけ。
「ねぇ理姫、重いんだけど」
「ころこ…」
ちょうど僕に身体半分が乗ったところでその言葉を受け、身体が完全に停止する。
「お、もい?」
「重い、って言ったね、お兄ちゃん?」
だからなんだと。
次の瞬間、理姫がベッドから飛び起き、いそいそと天井に輪を作ったロープを…ってそれ!
「理姫っ!」
「止めないで下さいっ!お兄ちゃんの重荷でしかないなら、わたしっ!ここで潔くっ!」
「ちっとも潔くないからっ!てかなんで自分の中でそこまで事態を重くしてるのさっ!」
「また重いって言ったぁ!」
「だぁもう!」
今日も、妹は疲れます。


小ネタ理姫SS『ゆるい日曜日』


 せっかくの日曜日。一日中ゴロゴロを決め込んでいた僕にとって、こんな起こし方は意外だった。
まぁ、理姫のことだから、何が何でも日曜日僕を起こしてどっか連れまわそうってするのは分かってたけどさ。
「理姫ろーらー、ダメだった?」
しゅんっ、と俯いてしょんぼりする理姫もしおらしくて可愛い…って何言ってるんだ僕は。
「ダメじゃないけどさ、出来たら普通に起こして…」
「?普通って?」
普通の起こし方って言ったら、起きて、って揺さぶるだけじゃないの?てかその常識も無いの?
なんて言葉を吐けるわけがなく。理姫は顎に指を当てて考え込む仕草。
「そ、それって、もしかして」
で、布団に潜り込み、もぞもぞ。
「ってなんで僕のパンツに手を掛けてるのさ」
「え、だって、朝のご奉仕。朝勃ちともだち〜っ♪」
「…」
サクッ。理樹ちょ〜っぷ♪
理姫としばらく口きいてもらえませんでした。

 「で、結局これですか」
「〜♪」
理姫の目論みは成功。元々昼から僕と二人っきりで外に出るつもりだったようだ。
とりあえずまずはチョコレートパフェの美味しい喫茶店で、チョコパフェ注文。
「太るよ?」
「うぐっ…い、いいもんっ。そのあと人一倍努力すればいいんだよ〜♪」
僕の精一杯の皮肉にも、天使の笑顔は強いです。
でも、どんなに母性的な理姫でも、やっぱり年齢相応の女の子なんだ。口の周りにクリーム付けて元気にパフェを
貪る…いや貪るって言い方はアレだな。食べる理姫もとっても可愛い。
ふと、その口の周りのクリームを指で拭って口に入れる。うん、甘くて美味しい。
「あっ…」
「ん?」
しまった、理姫の目がトローンとしてる。口を塞がないとトンデモ発言が!
「お兄ちゃんの濃厚ミルクも、この後飲んであげるからね」
「…」
遅かったようです。隣のカップルが冷たい目で僕らを見ています。後ろの席のサラリーマンは新聞に全速力で
コーヒーを噴射していました。すぐさま理姫の手を引き、お代を支払って、僕らは外に出た。

 「う〜っ、これからコーンフレークの層だったのにぃ…」
あそこが一番美味しいんだよ?クリームのふわふわした甘さとコーンフレークのざくざく感が〜とパフェを熱く語る理姫。
「いや、そもそもあの店にいられなくなったのは理姫の発言のせいだし」
「う」
それを言われたらどうしようもないようです。
「そもそもパフェなんていつでも食べに連れて行ってあげるんだから、あんな恥ずかしい発言は禁止ね」
「…」
って、なんで顔を赤らめてるんですか理姫さん。
理姫は自然発熱機能全開にして、僕をとろ〜んとした目で見つめる。
「ぽ〜っ…いつでも、ってことは、わたし、生涯の伴侶…ぽ〜っ…♪」
何が言いたいのかさっぱり分かりません。
「じゃお兄ちゃん、この先の喫茶店も全部制圧しちゃおうよ」
「それはダメ」
「ぶーぶー。約束違反だぁ…」
何とでも言いなさい、なんて言いながら僕らは家路を急いだ。雨が、降って来そうだったから。
案の定、僕らが部屋に飛び込んだ瞬間、大粒の雨と落雷が、外の洗濯物を襲ったのだった。


 「うーん、洗濯物は諦めるしかないね」
「うん…」
幸い今日乾しているのは私服や靴下程度で、基本替えはいくらでもある。
でもお気に入りのファミマのロゴが入ったTシャツが雨風に揺らされる姿は、どことなく哀愁を感じた。
「でも凄い雨〜」
これが無かったらイチゴパフェも制覇できたのに〜。と理姫は恨めしそうに空を睨む。
「お兄ちゃんとわたしの時間、返せ〜っ♪」
天に拳を突き上げるが、それも可愛らしい仕草。なんでも様になる妹だ。
なんて思いながら、手元にあったコーヒーを啜る。テレビでは、殺人事件の話とか、芸能人が覚せい剤で捕まったとか、
ちっとも笑えないニュースばかり。目の前のこの穏やかでささやかな日々は、いつまで続くかな。
いや、違う。守っていくんだ。僕が、兄として、男として。
ニュースで17歳、僕らと同じ年齢の女の子が、交際相手の男に刺殺された、って痛ましいニュースが流れていた。
その子だって、本当に彼が好きだったのか、それとも遊びだったのかなんて推し量れないし分からない。
だけどただ一つ言えるのは。
生きたかった、幸せになりたかった。それがたった一人の男のエゴで消えてしまったことがとても悲痛で。
「ねぇ、理姫」
「雨雲あっち行け〜っ♪ん、なに〜?」
まだ続けていた。そんな彼女に聞いてみようとして、やっぱり辞めた。
「…なんでもないよ」
「ん〜?」
怪訝そうな顔になるけど、また空に向かってシュプレヒコール。
こんないい子なんだ。誰かに殺められることはないし、僕が絶対にそれを許さない。
僕が、守っていく。
そう誓いを新たにしたときだった。
バタン。突然ドアが開く。
で、そこには包丁を持った黒髪ロングの、赤プラフレームめがねの女の子。
「直枝理姫討ち取ったり〜!」
「やめんかいっ!」
バシィッ!我ながらナイスツッコミだ。
その黒い髪の生き物は、いや、むしろ生き物かどうかも知らないけど、仰向けに倒れてまんぐり返しポーズ。
軽く濡れそぼったおまたが目に痛いです。あと、髪とか服も濡れてます。何をしたいのやら。


 「で、杉並さん、今日はなんの酔狂?」
「酔狂なんて酷いです。ぐすん。あ、コーヒー美味しい。キリマンジャロですか?」
「サルヴァドール種だよー」
「五月蝿いっ!あなたには聞いてないっ!」
「む〜っ」
「まぁまぁ」
杉並さんが理姫にやたら好戦的です。まぁ、ケンカするほど何とやら、かな?
「って、理姫っ!包丁持って殺しに来た相手に何コーヒー出して和気藹々としてるのさっ!」
「え?だって睦美ちゃんだよ?」
何その『え、でも、ファミマだよ?』的なノリは。
「はっ、そうだった!直枝理姫覚悟ぉっ!」
思い出したように包丁に手を掛ける杉並さん。だけど、理姫の先制攻撃。
「理姫ちょ〜っぷ♪」
しかも首に入った!
「きゅ〜」
落ちる杉並さん。ご愁傷様。手を合わせるしかなかった。
「第一なんで殺す必要があるのさ」
「そ〜だよ〜。この間、約束したでしょ〜?」

本当にお兄ちゃんが好きなら、身体で迫るじゃなくて、心も大事にしてあげよう?
先日の登校前、杉並さんと理姫の張り合いが始まって、遅刻決定したあのときだ。
「私が死んじゃったら、お兄ちゃんかな〜り落ち込むと思うな〜」
「そ、そんなことあるわけ無いでしょ!?むしろウザい妹が消えて喜ぶわよ!」
「ん〜。睦美ちゃん、お兄ちゃんのこと何も分かってないなぁ」
あなたが何を、と言おうとした睦美の頭をナデナデしながら、一言。
「お兄ちゃんにとって、私はたった一人の、血を分けた肉親。その肉親が死んで喜ぶなんて」
死んでも、言っちゃいけないと思うな。そう言いながら優しい笑顔。
「私を倒すのは、いくらでもしていいよ?でも、お兄ちゃんを傷つけるなら、全力で阻止するんだからっ♪」
そこでようやく冷静を取り戻した杉並さんが、やっとポツポツと語り始める。
「なんと言うか、その。この同人誌読んでたらね、勇気貰っちゃって」
「勇気で殺人未遂しないでよ…」
かなりため息吐きながら見た同人誌は。

要約するとこうだ。
ヒロインが主人公に気に入られたくて、たくさんアプローチしたけど無意味。
ある日それが、主人公のシスコンという性癖のせいだと気付き、自室のベッドで妹と行為中の主人公を襲い、
妹を惨殺後、主人公のいたいけなジョニーをちょん切って、血に染まったままアハハハと笑い続けるお話。
って何だよコレっ!
「大体僕シスコンじゃないし!」
「お兄ちゃん、わたしと、したいんだ…」
「そこで脱がないっ!」
「えーっ」
果てしなく疲れる。もう、許されるなら今日は1人で寝かせてください。
「凄いヤンデレなストーリーだね」
「あ、分かります…?ヤンデレ、いいですよね」
「ふむふむ。お兄ちゃんはヤンデレさんが好き…と」
「いやいやいや…」
とりあえずこの二人を通報します。と携帯を手に取ると。
「でも、何だかんだで睦美ちゃん、同人誌大好きなんだね」
「う。あ、あなたには関係ないもん!」
「あるよ。だって」
私たち、もうお友達。
手を握る理姫に、杉並さんは。
「……直枝理姫、掛かったなぁ!」
また一連の流れに戻る。
……包丁も良く見たらプラスチック製だし、大丈夫みたい。
元々理姫とじゃれあうために遊びに来たんだろう。素直じゃないなぁ。なんて微笑ましく思いながら、ケータイをテーブルに置く。
外は、少しずつ雨の勢いも弱まり、日差しが見えるまでになっていた。
明日は、いい天気だろう。たまにはレモネードが飲みたいなぁ。
なんて思いながらじゃれ合ってる理姫たちのほうを向くと。


 ぷり〜んと、柔らかそうなお尻。
…杉並さんのだ。
「あ」
「…」
「…っ!」
じゃれ合いがあまりに勢い良すぎて、理姫の手が杉並さんのスカートの中に入り。
そしてそのまま杉並さんの、白とピンクのアクセントが可愛らしい紐ぱんの紐を解いてしまったようだ。
「…」
僕の位置からは、杉並さんのヒクヒクしているヴァージンアナルも、サーモンピンクの恥部も、丸見えです。
…肉厚だなぁ。それに美味しそう。
「…直枝…理姫ぇぇぇぇっ!」
本気でコロス!マジコロヌっ!
自分の下半身のことを怒りで忘れて暴れるものだから、恥部が閉じたり開いたり。可愛いアワビが全開です(笑
その後居た堪れなくなって個室に篭り、事態が解決するまで、その…な、なんでもないよっ!?
【終わり】


あとがき

一時間で殴り書き。
コンセプトは『素直になれない睦美が、理姫と仲良くなりたくて』。
でも結局こうなるわけですよ。杉並さん、報われなくてごめんね。

さて。
よく質問を戴くのですが。
『ぱんつ』と『パンツ』、どうして使い分けるの?ということについて。
『ぱんつ』は女子の下着を描くときの描写。このほうがえっちぃでしょ?
『パンツ』は男の子の下着とか、ズボンのことを描くときに使います。えっちくなくていいわけだし。
今回も支離滅裂ですが、次回は更に、睦美と理姫を濃く描いてみたいなぁ、なんて。相坂でした。

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